どうして苗木が大切なの?


「少しでも早くオリーブの樹を大きくし、果実を収穫するために最も大切な要素とは、苗木である。」

これが10年以上、日本でオリーブ栽培を続けてきたmaruuの持論です。

 

今やオリーブは、どんな街のフラワーショップやホームセンターでも苗が売られています。

「オリーブの苗なんてどこでも売っているし、何でも一緒でしょ?」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、個人で育てて楽しむぶんにはそういったお店で入手されることは大いにアリだと思います。

しかし、このページを探し当てて今読んでくださっているあなたが、農業としてのオリーブ栽培を志していらっしゃるのならば、苗木にこだわることを断然おすすめします。

なぜならば、植え付ける苗木の良し悪しで、大袈裟でなく何年もの差が生まれてしまうからです。

苗木にこだわる理由その1:品種

オリーブにはじつにたくさんの品種があります。オリーブ栽培を志す方がまずはじめの段階で考えるのは「どの品種にしようか?」ということではないでしょうか。

この品種はオイルに向く、こちらの品種はテーブルオリーブ向き、はたまたどちらにも向く兼用品種と呼ばれるものもありますね。

あの品種にしようか、いやいやこっちの品種も捨てがたい、これも植えてみたいな、なんて考える時間はとても楽しいものです。

そしていざ、ホームセンターや手近な(専門ではない)苗木屋さんで探して植えてみると……思っていた品種と違うことが本当に多いのです。

私にも2回ほどあります。手痛い経験が。

小さい苗のうちは分からなかった品種の特徴が、成長するにつれてはっきりしてきて……アレ!?なんだかおかしい…? これ、品種違うじゃーーーん!!!!!

と、はっきり分かった時にはもう、後の祭り。

たとえ販売元が苦情を受け入れ、返金してくれたとしても(私の場合、それもできませんでしたが…涙)、時間は戻りません。植え付けに費やした労力も。

どうすんのコレ?抜く?植え直す?今更??ああ、生産計画もこれで台無しだ…と、不安に押しつぶされそうになりながら畑にただ立ち尽くす虚しさを、

他の人には味わってほしくないな、と思ったのが苗木づくりを始めることにしたきっかけの一つでした。

苗木づくりというのは、本来とても専門性の高いものです。他の作物にも言えることですが、特に業として育てる植物の品種には、間違いはあってはならないのです。

桃やブドウなどの苗木を専門に育てている業者を知っていますが、品種が分からなくなることのないよう、植え付けから出荷までつねに細心の注意を払っています。

それでも万が一、途中で品種が入り混じって分からなくなってしまったら?もう商品にすることはできません。苦労して育てた苗木でも、疑わしきは躊躇なく廃棄されます。

その潔癖とも神経質とも思えるほどの厳しい仕事ぶりがあって初めて、かれらは多くの栽培者から信頼されるプロの苗木屋たり得ているのです。

品種間違いは、栽培者が丹精込めてその植物を育てた年月を簡単に無にしてしまうだけでなく、営業的な損害をももたらします。

だからこそ、その作物に精通し、しっかりとしたノウハウと良識を持ったプロから苗を購入すべきなのです。

苗木にこだわる理由その2:苗の形

少しでも早く木を大きくしたいとき、どんな苗を選んだら良いのでしょう?

もともと大きい苗?たしかに、それも一つの方法かもしれません。でも大きい苗ってだいたい大きさとお値段が比例しますよね。

じつは、わざわざ大きい苗を買い求めなくても、すくすく育つ苗を選べば大きい苗を買うのと同じくらいの結果を得ることができるんです。

 

 

これは、私が山梨で植え付けた苗の写真。スマホの中の写真フォルダから探してきました。

あまり見やすい写真でなくて恐縮ですが、撮影したのは2019年3月。

信頼できる小豆島の栽培者から、挿し木したミッションを譲ってもらい、ポリポットで

しばらく養生したあとで植え付けました。

この時の大きさは30cmちょっとくらい。元々は5cmほどの小さな苗でした。

 

 

 

 

そしてこちらが、1年8ヵ月後の2020年11月の写真。

アングルが違いますが、同じ畑の同じ段を撮影したものです。

木の背丈は3mをゆうに超え、ひとにぎり程ではあるものの、果実も収穫できました。

とかく日本の、特にオリーブがまだ目新しい作物である地域におけるオリーブ栽培では、剪定などのテクニックや肥料といったソフト面ばかりが

クローズアップされがちですが、私はそれよりもまず、オリーブの苗木そのものというハード面をこそ、重視すべきだと考えています。

過度な手入れを必要とせず、すくすく育つ苗は、回り道をしません。

形の悪い、小さいうちからたくさん弄らなければならない苗は、余分な枝にエネルギーを持っていかれ、本来なら成長に回すことができるはずだった

エネルギーを、剪定によって切り落とされる枝もろともそぎ落とされていきます。

剪定し、切り戻し、悪戦苦闘しているうちに、その影響は、半年、一年…と経つうちにどんどん大きく、成長の差という形になって表れてきます。

 

maruuの畑をご覧になった方から時々、お褒めの言葉をいただくことがあります。

「こんな短期間で、よくこれだけの畑にできましたね!」

それが思い通りの苗から育てた畑であれば、心の中でガッツポーズ。でも、不本意な苗から育てた畑であれば、「いやあ恐縮です」なんて頭を掻きながら

心のどこかで「まだまだこんなもんじゃないんです、本当はもっともっと大きくなっていた筈なんです」と言い訳してます。

 

―2019年の方の画像を、もう一度ご覧ください。手前味噌ですが、すっきりと整えられ、ぐんぐん伸びる用意ができている良い苗だと思います。

maruuでは、あなたが注ぎ込む労力と年月を無駄にしない苗木の受注生産を承ります

品種や時期などのご相談はお気軽にこちらからどうぞ

※現在、苗木の受注は休止しております。誠に申し訳ございません。再開しましたら改めてご案内いたします。

 

観賞用のオリーブの木をお探しの方へ、こちらのページ以外にも在庫がございます。

品種やサイズなど、お探しのものがありましたらお気軽にお問い合わせください